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福岡で飲食店を開業する手続きと流れ|保健所・消防署・税務署の期限を一覧で解説【2026年版】

2026年10月13日

物件探しや内装の打ち合わせと並行して、飲食店の開業準備では役所への手続きも進めなければなりません。営業許可は保健所、内装や設備は消防署、開業の届出は税務署と窓口が分かれていて、提出の期限もそれぞれ違います。

順番を間違えると、内装を仕上げてから保健所の基準に合わないと分かって工事をやり直したり、許可の申請が遅れて予定していたオープン日に間に合わなかったりと、あとで困ることになりかねません。どちらも、手続きの順番と期限を早めに知っていれば防げる失敗です。

この記事では、福岡市で飲食店を開業するケースを例に、届け出る書類と期限を開店日から逆算した一覧表にまとめました。糸島市や糟屋郡など、福岡市の外で開業する方に向けた窓口の情報も載せています。内容は、福岡市・福岡県・国税庁などが公開している資料(2026年10月時点)をもとにしています。

福岡で飲食店を開業するまでの流れ(5ステップ)

先に全体の流れをまとめると、福岡市で飲食店を開業するまでの手続きは次の5ステップです。

  1. 内装工事の前に、保健所と消防署へ相談する(福岡市の保健所の窓口は各区の衛生課)
  2. 食品衛生責任者の資格を取る(調理師などの資格がなければ、1日の講習会を受ける)
  3. 開店の1週間前までに、保健所へ飲食店営業許可を申請する
  4. 店を使い始める7日前までに、消防署へ使用開始届を出す(深夜0時以降にお酒を出す店は、10日前までに警察署への届出も)
  5. 税務署へ開業届などを出す(青色申告にするなら、開業から2か月以内に申請)

アルバイトなどを雇うなら、労働基準監督署とハローワークでの手続きも加わります。

飲食店の開業に必要な手続きと期限の一覧表

それぞれの手続きの期限を、開店日から逆算して並べると次のようになります。

時期の目安 窓口 手続き
内装工事に入る前 保健所 図面を持って事前相談(福岡市は各区の衛生課)
内装工事に入る前 消防署 計画段階での相談
厨房設備の工事に着手する7日前 消防署 炉・厨房設備等の設置届(該当する場合)
開店までに余裕をもって 食品衛生協会 食品衛生責任者の養成講習会(調理師などの資格があれば不要)
開店の少なくとも1週間前(福岡市の案内) 保健所 飲食店営業許可の申請、その後に施設の確認検査
店の使用を始める7日前 消防署 防火対象物使用開始届出書
深夜営業を始める10日前 警察署 深夜における酒類提供飲食店営業の届出(お酒が中心の店で、深夜0時以降も営業する場合)
開業から2か月以内 税務署 青色申告承認申請書(青色申告を選ぶとき)
給与を払う事務所を開いてから1か月以内 税務署 給与支払事務所等の開設届出書(人を雇うとき)
開業した年の確定申告期限まで 税務署 個人事業の開業届出書(2026年1月1日以後の開業)

期限が決まっている書類は、この表を見ながら進めれば間に合わせられます。ただ、いちばん上の「工事前の相談」だけは、飛ばして内装を仕上げてしまうと、直すのに費用も時間もかかります。後回しにしないよう注意してください。

手順1 内装工事の前に、保健所と消防署へ相談する

保健所への事前相談(福岡市は各区の衛生課)

福岡市保健所の「営業許可申請の手引き」では、工事に着手する前に、設計済みの図面を持って区の衛生課(食品係)へ相談するよう案内しています。施設が基準に合っていないと、完成したあとで手直しをすることになるからです。

図面の段階なら線を引き直すだけで済む修正も、工事が終わってからでは壁や設備に手を入れることになりかねません。内装業者との打ち合わせが始まったら、早めに図面を持って相談に行きましょう。

福岡市以外で開業する場合の保健所の窓口

福岡市の外では、保健所の窓口が変わります。北九州市と久留米市はそれぞれの市が、そのほかの市町村は福岡県の保健福祉(環境)事務所が窓口です。福岡市の近くでは、次のようになっています。

店の所在地 窓口
福岡市 店がある区の衛生課
糸島市 糸島保健福祉事務所 保健衛生課
古賀市・糟屋郡 粕屋保健福祉事務所 保健衛生課
筑紫野市・春日市・大野城市・太宰府市・那珂川市 筑紫保健福祉環境事務所 保健衛生課
北九州市・久留米市 それぞれの市の窓口

消防署にも、計画の段階で相談を

消防署への相談も、工事の前に済ませておきたい手続きのひとつです。福岡市消防局は、たとえば次のようなケースが消防法令違反にあたる可能性があるとして、計画段階から管轄の消防署へ相談するよう呼びかけています。

  • 空いているテナントに入居して、店として使い始める
  • 事務所として使われていた物件を、飲食店に変える
  • 客席を増やす
  • 店内のレイアウトを変える

いずれも、飲食店の開業ではごく普通にあることです。消防局は、店が小さくても消防設備の設置を求められることがあること、入居やオープンのあとで改修すると大きな費用がかかりかねないことも伝えています。設備は付けて終わりではなく、定期点検などの維持費もかかります。

居抜き物件でも、営業許可は取り直しが必要

厨房設備が残っている居抜き物件は、初期費用を抑えやすいのが魅力です。ただし、前の店の営業許可をそのまま使うことはできません。営業許可は営業する人と施設に対して出るものなので、物件を借りただけでは引き継げず、新しく許可を取る必要があります。

設備がそろっていても、申請のあとには施設の確認検査があります。内装に手を入れるつもりなら、やはり工事の前に衛生課へ相談しておきましょう。

なお、前の経営者から店の事業そのものを譲り受けるときは別です。2023年12月13日からは、承継の届出をすれば、新たに許可を取らずに営業者の地位を引き継げるようになりました。

手順2 食品衛生責任者の資格を取る

飲食店は、店(施設)ごとに食品衛生責任者を置かなければなりません。営業許可を申請するときにも、食品衛生責任者の氏名や資格の種類、受講した講習会の種類も伝えます。誰が責任者になるかは、申請までに決めておきましょう。

調理師などの資格がなければ、1日の講習会を受ける

調理師・栄養士・製菓衛生師などの資格を持っていれば、講習を受けずに食品衛生責任者になれます。持っていなければ、養成講習会を受講します。

福岡市の講習会の日程・受講料

福岡市内の養成講習会は、公益社団法人福岡市食品衛生協会が開いています。

項目 内容
会場 福岡生活衛生食品会館(博多区千代)
開催 ほぼ月1回
時間 9時〜17時(1日)
受講料 10,000円(当日持参)
定員 1回150名(定員になりしだい締め切り)
受講できるかの通知 講習日の10日前までに郵便で届く

会場まで行くのが難しい方には、eラーニングでの講習もあります。福岡市の外で開業するなら、養成講習会については、福岡県が公益社団法人福岡県食品衛生協会への問い合わせを案内しています。

講習会は月に1回ほどなので、1回逃すと次は翌月です。物件のめどが立った段階で日程を確認し、申し込んでおくと安心です。

手順3 保健所へ飲食店営業許可を申請する

申請の期限は、開店の1週間前まで(福岡市)

福岡市の手引きでは、申請書類はオープン予定日の1週間前までには出すよう求めています。申請先は、店がある区の衛生課です。

インターネットの「食品衛生申請等システム」から申請することもできます。ただし、事前に事業者情報の登録が必要で、手数料の支払いは窓口で現金のみです。

申請に必要なものと手数料

福岡市で飲食店営業の許可を申請するときは、主に次のものをそろえます。

  • 営業施設と設備の図面
  • 申請手数料 16,600円(飲食店営業・現金のみ)
  • 法人番号(法人の場合)
  • 水質検査成績書(井戸水を使う場合)
  • 食品衛生責任者の氏名・資格の種類・受講した講習会の種類

施設の確認検査から、許可証の交付まで

申請のあとは、衛生課の職員が店に来て、施設が基準に合っているかを確認します。検査には営業者か食品衛生責任者が立ち会い、それまでにHACCPに沿った衛生管理計画を作っておく必要があります。

基準に合わない点が見つかると、その時点では許可されません。直したうえで再検査を受けることになり、そのぶんオープンも遅れてしまいます。基準を満たしていると確認されたあとも、許可証ができあがるまでには数日かかるので注意してください。受け取りは、区の衛生課の窓口か郵送です。

1週間前という期限は、検査が一度で通ったときの最短の目安と考えておくほうが安全です。申請の際に工事の進み具合や検査日を相談できるので、日程に余裕をもって申請しましょう。

開業の準備、何から手をつけるか整理したい方へ

開業について相談する

手順4 消防署へ防火対象物使用開始届出書を出す

店として使い始める7日前までに、所轄の消防署の予防課へ「防火対象物使用開始届出書」を2部提出します。配置図や各階の平面図などを添付します。

一定の規模以上の厨房設備や炉などを新しく設置するときは、その工事に着手する7日前までに、設置の届出も必要です。こちらは開店日ではなく工事の日程が基準になるので、内装業者とスケジュールを確認しておきましょう。

建物や店の規模によっては、防火管理や消防設備の点検に関する届出が必要になることもあります。何が要るかは店によって違うため、手順1の事前相談で確かめておくと手戻りがありません。

深夜0時以降にお酒を出すなら、警察署へ届出が必要

バーや居酒屋のように、お酒をおもに出す店が深夜0時以降も営業するときは、「深夜における酒類提供飲食店営業」の届出が必要です。届出書は、深夜の営業を始める日の10日前までに、店の所在地を管轄する警察署を通じて公安委員会へ提出します(風営法施行規則 第103条)。

定食屋のように、主食となる食事を出すのがふだんの営業である店は、対象にならないことがあります。自分の店があてはまるか迷ったら、警察署に確認してください。

物件選びでも気をつけたい点があります。風営法は、都道府県が条例で地域を定めて、深夜の酒類提供飲食店営業を禁止できるとしています。深夜まで営業するつもりなら、物件を契約する前に確認しておきましょう。

手順5 税務署へ開業届などを出す

開業届の期限は「確定申告期限まで」に変わった

個人で飲食店を始めるときは、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」、いわゆる開業届を出します。2026年1月1日以後の開業であれば、提出期限は開業した年分の確定申告期限までです。

以前は「開業から1か月以内」とされていたため、ネット上にはまだ古い期限を載せた記事もあります。調べるときは、情報の日付も確認してください。

青色申告にするなら、開業から2か月以内に申請

青色申告で確定申告をしたいなら、「所得税の青色申告承認申請書」も出します。1月16日以後に開業したときの期限は、開業日から2か月以内です。開業届の期限が延びたあとも、こちらは変わっていません。開業届と一緒に出しておけば、出し忘れを防げます。

人を雇うなら、給与支払事務所等の開設届出書も

アルバイトなどを雇って給与を払う場合は、給与を支払う事務所を開いてから1か月以内に「給与支払事務所等の開設届出書」を税務署へ出します。あわせて、労働保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワークで手続きをします。

法人として開業するときは、届け出る書類が個人とは異なります。

書類を税務署の窓口へ持っていくなら、受付時間にも気をつけてください。2026年10月1日から、全国の税務署で総合窓口の受付時間が原則として9時〜15時になりました。開業届はe-Taxからも提出できます。

手続きと一緒に進めたい「お店を知ってもらう準備」

当協会が、開業から半年ほどの飲食店にお話をうかがったときのことです。許可や届出は期限があるので、忙しくても必ず終わります。後回しになっていたのは、期限のない「お店を知ってもらう準備」でした。

店名で検索しても出てこない、地図アプリに営業時間が載っていない。そんな状態のままだと、料理とは関係のないところで来店のきっかけを逃してしまいます。詳しくは「飲食店への聞き取りから見えた、開業期の課題」にまとめました。

冒頭の一覧表に、「お店の情報をどこに、いつまでに載せるか」という一行も加えておくことをおすすめします。当協会では、西区の地元のお店を紹介する「福岡市西区のランチ・飲食店まとめ」も公開していて、掲載の申し込み(無料)を受け付けています。

福岡での飲食店開業に関するよくある質問

飲食店の営業許可は、どこに申請すればいいですか?

店の所在地を管轄する保健所です。福岡市は各区の衛生課、糸島市や糟屋郡などは福岡県の保健福祉(環境)事務所、北九州市と久留米市はそれぞれの市が窓口です。

営業許可が下りるまで、どのくらいかかりますか?

福岡市では、申請は営業開始予定日の1週間前までにと案内されています。申請後に施設の確認検査があり、基準を満たしていれば許可となりますが、許可証の交付までにさらに数日かかります。検査で直す点が見つかると再検査になるため、余裕をもって申請するのが確実です。

福岡市の飲食店営業許可の手数料はいくらですか?

16,600円で、窓口での現金払いです(2026年10月時点)。ほかの市町村は、各窓口で確認してください。

飲食店を開業するのに必要な資格は何ですか?

店ごとに食品衛生責任者を置かなければなりません。調理師や栄養士などの資格がなければ、1日の養成講習会を受けて資格を得ます。福岡市内の講習会の受講料は10,000円です。建物や店の規模によっては、防火管理に関する届出も求められます。

居抜き物件なら、前の店の営業許可を引き継げますか?

引き継げません。物件を借りただけでは許可は移らないため、新しく取る必要があります。店の事業そのものを譲り受ける場合に限り、承継の届出で営業者の地位を引き継げます。

開業届の期限は「開業から1か月以内」ではないのですか?

2026年1月1日以後に開業した個人事業主は、その年分の確定申告期限までに出せば足ります。ただし、青色申告の承認申請は開業日から2か月以内のままです。

深夜に営業する場合、届出は必要ですか?

お酒をおもに出す店が深夜0時以降も営業するなら、深夜の営業を始める10日前までに、警察署を通じて公安委員会へ届け出る必要があります。主食となる食事を出すのがふだんの営業である店は、対象外になることもあります。

まとめ

福岡で飲食店を開業するときの手続きは、保健所・消防署・税務署と窓口が分かれ、期限もそれぞれ違います。開業準備の早い段階で、次の4点を確認しておくと安心です。

  • 内装工事の前に、図面を持って保健所(福岡市は区の衛生課)と消防署へ相談する
  • 食品衛生責任者の講習会は月1回ほど。物件のめどが立ったら申し込む
  • 営業許可の申請は開店の1週間前まで、消防署への使用開始届は7日前までに出す
  • 開業届は確定申告期限までに変わったが、青色申告の申請は開業から2か月以内のまま

開店日が決まったら、一覧表の各期限を具体的な日付に置き換えて、カレンダーや手帳に書き込んでおきましょう。

開業の準備について、当協会にご相談ください

一般社団法人ふくおか活力創造協会では、福岡県内でこれから開業する方や、開業して間もない方からのご相談をお受けしています。準備をどの順番で進めるかの整理や、どの窓口に何を聞けばよいかのご案内ができます。協会の活動については「当法人の活動紹介」をご覧ください。

許可の申請や届出の書類を代わりに作成することはしていません。書類の作成を任せたい場合は、行政書士などの専門家にご相談ください。

開業の準備で迷っていることを、まずはお聞かせください

ご相談は無料です。「何から相談すればよいか分からない」という段階でも構いません。当協会は特定の商品やサービスを販売する団体ではなく、ご相談によって何かの購入をお勧めすることはありません。

開業について相談する

一般社団法人ふくおか活力創造協会/〒811-2305 福岡県糟屋郡粕屋町大字柚須119番地1


出典

本記事は、上記の資料をもとに一般社団法人ふくおか活力創造協会(法人番号 6290005020166)が作成しました。記載内容の最終確認日は2026年10月13日です。手続きの内容や期限は変更される場合があります。実際の手続きにあたっては、各窓口で最新の情報をご確認ください。